家賃並みの住宅ローンに注意!慎重に考えよう

近年、「家賃並みで住宅ローン」という広告をよく見かけます。まるで今払っている家賃と同じ額で自分の家が持てるかのように聞こえますよね。しかし、実際に家を購入するとなると、注意しなければならないポイントがいくつかあります。家賃並みの住宅ローンについて、私が常に感じていることをお伝えします。

光熱費の増加

賃貸アパートやマンションに住んでいると、部屋の広さに応じて光熱費がある程度抑えられています。例えば、ワンルームや1DKなら、エアコン一台で部屋全体を冷暖房できますし、照明も少ない数で済みます。しかし、一軒家に引っ越すと部屋数が増え、当然エアコンや照明の数も増えます。その結果、昨今の電気料の値上げもあり、光熱費が大幅に上がることが考えられます。

固定資産税

家を購入すると、毎年「固定資産税」という税金がかかります。これは土地や建物の価値に基づいて計算される税金で、自治体によって異なりますが、年間数十万円かかることも珍しくありません。賃貸住宅に住んでいる場合、家賃に含まれていることもありますが、自分で持ち家を持つと、この税金を毎年自分で支払わなければなりません。

固定資産税の計算方法

固定資産税は、土地と建物の評価額に基づいて計算されます。評価額は市場価格よりも低く設定されていますが、それでもかなりの額になることがあります。例えば、評価額が3000万円の家の場合、固定資産税は年間30万円程度になることがあります。

固定資産税の増減

また、固定資産税は数年ごとに評価額の見直しが行われるため、税額が変動することがあります。特に、都市開発や周辺環境の変化によって評価額が上がると、税金も増える可能性があります。

修繕費の負担

家を持つということは、その家を維持する責任が伴います。屋根の修理、外壁の塗装、配管の修理など、年月が経つごとに家のあちこちが劣化していきます。これらの修繕費用は思った以上に高額になることがあります。例えば、屋根の修理だけでも数十万円から数百万円かかることもあります。

屋根の修理

屋根は風雨にさらされるため、数十年に一度は修理や交換が必要です。特に、瓦屋根や金属屋根は劣化が進むと大規模な修繕が必要になることがあります。これには数十万円から数百万円の費用がかかることがあります。

外壁の塗装

外壁も同様に、定期的な塗装や修理が必要です。塗装は約10年ごとに行うのが一般的で、費用は数十万円から数百万円かかることがあります。

配管の修理

古い家の場合、配管の劣化による水漏れや詰まりが発生することがあります。これを修理するためには、大規模な工事が必要になることがあり、数十万円の費用がかかることもあります。

住宅ローンの金利リスク

住宅ローンにはさまざまな金利タイプがあります。「固定期間付き変動金利」や「変動金利」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。固定期間付き変動金利は、一定期間は金利が固定され、その後は市場の金利に応じて変動します。変動金利は、常に市場の金利に応じて変動します。マイナス金利解除によって市場はいつでも金利を上げても良い体制を整える寸前です。将来的に金利が上昇した場合、毎月の返済額が増えるリスクがあります。

固定期間付き変動金利のリスク

固定期間付き変動金利は、固定期間が終わると市場の金利に応じて返済額が変動します。例えば、固定期間が5年の場合、5年後に金利が上がると、それ以降の返済額が増える可能性があります。

変動金利のリスク

変動金利は、常に市場の金利に応じて返済額が変動します。経済状況の変化によって金利が上昇すると、毎月の返済額が大幅に増えることがあります。特に、長期間にわたってローンを返済する場合、このリスクは無視できません。

長期的な視点での計画が必要

家を購入するということは、長期的な視点で計画を立てる必要があります。家賃並みの住宅ローンに飛びついてしまうと、後で思わぬ出費に悩まされることになりかねません。家の購入を検討する際には、将来的な収入の見込みや支出の増加をしっかりと見据え、無理のない計画を立てることが大切です。

将来的な収入の見込み

将来的な収入の見込みを考える際には、現在の職業の安定性や昇給の見込みを考十分に慮する必要があります。また、家族構成の変化(子供の誕生や独立、親の介護など)によって収入や支出が変わることもあります。

支出の増加を見据える

家を持つことで増える支出を見据えることも重要です。光熱費、固定資産税、修繕費などのほか、ローンの返済額が増えるリスクも考慮に入れる必要があります。

ライフスタイルに合った選択を

家を持つことは、多くの人にとって夢の一つですが、それが必ずしも全ての人にとって最適な選択であるとは限りません。家賃並みの住宅ローンという言葉に魅力を感じるかもしれませんが、その裏に潜むリスクをしっかり理解することが大切です。あなたのライフスタイルや将来の計画に合った選択をするためにも、慎重に考え、準備を怠らないようにしましょう。

ライフスタイルの見直し

家を購入する前に、現在のライフスタイルや将来の目標を見直すことが大切です。例えば、転職や転勤の可能性がある場合、持ち家よりも賃貸の方が柔軟性が高いかもしれません。また、将来的にリタイア後の生活を考えると、メンテナンスや固定資産税の負担が少ないコンパクトな住まいの方が適しているかもしれません。

家賃VS家賃並みの住宅ローン

「家賃並みで住宅ローン」という広告は魅力的に聞こえますが、実際には多くのリスクや追加の費用が伴います。光熱費や固定資産税、修繕費などの負担を考慮し、住宅ローンの金利変動リスクにも備えることが必要です。家を購入する際には、専門家に相談し、長期的な視点で無理のない計画を立てることが大切です。慎重に考え、あなたのライフスタイルに合った最適な選択をしましょう。

高橋 徹
住まいとお金の相談センター生活工房Life代表。大手スーパーで玩具売り場の店員として働いていた中で、身内の相続問題に触れ、お金の相談ができる場所を作る為に独立した。

自身の家づくりで大失敗のする寸前で回避。以後はその知識と経験を活かし、住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、顧客目線で不安を抱えることのない家づくりのサポートを行っている。

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